近年のエルメス製品には、日本のモチーフを取り入れたものが多くあります。
古くは札幌オリンピック記念のスカーフがあり、また、日本初のエルメス直営店がオープンした1979年に刊行された「エルメス大図鑑」には、「サムライ」という名前の灰皿や、「キョート」「コウベ」といったエナメルのアクセサリーが掲載されています。
日本のモチーフがエルメスで目立つようになったのは、スカーフブームを契機にエルメス・ジャポンやエルメス本社の業績が好調になる1980年代後半以降です。
1986年には、こうした動きの先駆けとなる鞄、通称「スモウバッグ」が発表されています。
また、「オーサカ」という旧1万円札がぴったり入る財布も登場しています。
その後も日本に着想したエルメス製品が数多く発表され、例えばスカーフには「日本への憧れ」「大名」「盆栽、美しき時」「日光」と題したものもあります。
ちなみに、「日本への憧れ」には、兜を中心にエルメスらしく馬柄のもの3個を含む11個の印籠が描写されています。
しかし、日本をモチーフとしながらも、色調など全体としてはあくまでエルメス調が保たれています。